遠くない将来にe-Inkを採用した電子書籍リーダーが出るだろうと思っていたのだが、こんなに早く出るとは! と喜んだのもつかの間、記事を読んでゲンナリしてしまった。富士通はどうやら未だに昔ながらの大鑑巨砲主義に拘泥しているらしい。止せばいいのにカラーだけじゃなく、Windows搭載でOfficeも使えて音声読み上げやらネットも3GもBluetoothもで、さらっと9万円オーバーである。いったい富士通は何を考えているのだろう。

もしこれがiPadのようにネットも使えてゲームも出来て電子書籍も読めて……というのを目指しているのだと言うのなら、あまりの的外れとしか言い様がない。アップルの物作りは富士通のように“加算”方式ではない。CPUパワーやキーボードやマウス、メモリーカードやCD/DVD-ROMドライブと言った余分な物を間引いた“減算”の果てに出来た物なのである。余計な物をそぎ落としたスリムさがアップルの美しさなのだが、それに比べたら富士通はメタボもいいところだ。コンセプトモデルならまだしも、これが正規の製品だとしたら、まさに帯に短したすきに長し。どの用途においても中途半端な上に、値段まで高いと来ている。これでは売れない。もっともっと贅肉をそぎ落とさないと。

私に言わせれば、この機種の機能はほとんどが無駄だ。Windowsなんてコスト増にしかならないのだからいらない。LinuxBSDでいい。Windowsを持ってきた方が制作期間は短くていいと思ったのかもしれないが、電子書籍さえ読めればいいのだから、Linuxでもそれほど時間はかかるまい。必要なら後からソフトやファームをアップデートすればいいのだ。さらに踏み込めば3Gすら必要ない。iPodに3Gが無いからと言って文句を言っている奴はいるだろうか? いまだiPhoneでも無線で曲が買えないのだから、USBで転送でいい。その代わり安くするのだ。値段は2万を切るぐらいでスタートし、将来的には1万4800円ぐらいにする(いわずもがなファミコンの値段である)。それで、プラットフォームの独占だとか四の五の言わずに、現在出ている主要なフォーマットや販売サイトに片っ端から対応していけば、間違いなく売れる。早くもコストを渋りだしたAmazonKindleで使っている電子書籍フォーマット対応すれば、Amazonも大歓迎だろうし、日本での販路もあっという間に広がる。後発の利を活かして、どうしてもっと戦略的な発想出てこないのか不思議で仕方がない。