Kilchoman(キルホーマン)

大分詳しくなったと思っていても、それでも知らないことがあるのが世の中である。というのは、昨日飲んだシングルモルトのKilchoman(キルホーマン)である。

何気なく近所のバーのカウンターに置いてあって、スコッチみたいだけどシングルモルトなのかブレンドなのかもはっきりせず、もしかしたらバーボン? と思っていたのがキルホーマンであった。うっかり写真を撮ることを失念してしまったのが惜しいが、味は写真で捉え切れるものではないと言い訳しておこう。

キルホーマンは、昔につぶれた蒸留所名を冠するという良くあるパターンとは違う全く新しいアイラ島の蒸留所で、なんでも操業してまだ数年とのこと。たまたまそのバーのチーフ格のバーテンダーがそこを訪れたことがあって、なんでも農場の片手間にやっているような、非常に小規模の蒸留所だという。ポットスチルも小さければ、規模も小さい。とても親切な良い蒸留所だったとか。

ところで操業数年とはどういう事?一体ヴィンテージは? と聞いてみたところ、なんとわずかバーボン樽に6カ月という超短期熟成。それではさぞかしアルコールっぽいで有ろうと予想して飲んでみると、これが驚き。うまいのである。

強いピート感は以前出回っていたラフロイグ6年やアードベックのヤングシリーズを思い起こさせる。それでいてしっかりとした甘みが感じられ、今飲んでもアイラ好きを十分満足させるものがあった。ただし、カスクであれだけ荒々しいので、繊細な味を求める向きには向かないだろう。個人的にはラフロイグに近いニュアンスを感じ、もう少し熟成したらかなりうまい酒になるのではないかと思った。

なんでも今回は日本のインポーターがキルホーマンに強く申し入れて、日本限定で200本ほどを回したという。第一弾は即完売、第二弾が初夏に出回るらしいが、おそらくはバー関係に回って終わってしまうであろうとのこと。熟成したものが世に出回るとき、どのような評価を得るのであろうか。非常に楽しみである。